人間の誕生から成熟期までの発育量を示したものに『スキャモンの発育曲線』というものがあります。神経系の発育を示す神経型は、乳児期から幼児期にかけて急速に発達して、小学校入学時には、大人の役90%に達しています。

小学校低学年まではこうした急成長期に含められると考えてよいと思います。動きの器用さ、調整力など、いわゆる運動神経を刺激するのに適した時期です。また、骨・筋肉・呼吸器や循環器などの発育を示す一般型は少年期に入っていったんゆるやかになり、少年期の最後あたり(14・15歳~)から再び急成長します。

しかし、少年期の一般型に「動きの力強さ」や「動きのタフさ」を要求するんは早すぎます。中学生の後半から高校生にかけてであれば、成長の度合いに合わせて「強さやタフさ」を求めていくのは良いでしょう。小学生に負荷の多い筋力トレーニングや耐久走などは全く必要ありません。むしろ有害だと考えます。

また、脳の発達でみると0才~3才まではいろいろな情報を取り入れてそれば何かを判断し記憶する「後頭葉」が発達します。こに対し、おでこ部分の「前頭葉」は物事を考え、推理し、意思決定する場所です。

この前頭葉の発達は、5才~10才くらいにかけて盛んになります。ですからこの時期に、子供に自分で考えさせたり自分で決定させたりすることが重要なのです。

サッカーのプレーの中には、実に複雑な動作が内包されています。走る・歩く・ステップする・止まる・ジャンプする・倒れる・回るなどの動作の組み合わせで、サッカーのプレーが成り立っています。動作の複雑さという点では、サッカーがスポーツの中ではナンバー・ワンと言ってもよいでしょう。少年期には人間の神経系が急速に発達しますが、この時期にサッカーのような動きの複雑なスポーツをすることは、神経系の発達を促進するために非常に良いのです。

またサッカーはエネルギー系の体力を刺激するという点でも非常に効果的なスポーツです。プレーを連続させる持久力、ジャンプやボールを蹴るパワー、走るスピードなどが、夢中になってボールを蹴り、追っているうちに少しずつ刺激されていきます。

スポーツの場での頭の使い方と算数や国語の勉強をしているときの頭の使い方を比較してみると、両者は少し違いがあります。

まず勉強の場での頭の使い方を見ると、たいていの場合はある決まった答え(関係やルール)を探してゆくというものです。すでに決まっている答え(少なくとも出題者にはそれがわかっている)を当てるのです。そこには判断とか決断という要素は含まれません。ここではいかに記憶するかが大事です。

ところがサッカーのようなスポーツの場面では、競争相手に勝ったり良いプレーをするためには、自らがさまざまな要因を分析・判断し、どのように行動をとるのかを決断しなくてはなりません。ここが勉強の場面の頭の使い方との決定的な違いです。

サッカーだけが優れているとは思いませんが、心と体が急速に成長する少年期に、バランスのとれた心と体の発達を促すスポーツとしてサッカーは、非常に適していると思います。

青葉FCの指導者は、子供達を、焦らず、のんびり、じっくり、長い目で指導して、将来のサッカーの”伸びしろ”を大きくしていくように考えています。